朝鮮民主主義人民共和国(DPRK)訪問

2001年3月13〜20日

キャシー・ゼルベガー、カリタス香港

http://www.vuw.ac.nz/~caplabtb/dprk/caritas_report_march01.htm

実情、観察、勧告の要約

目的:

◆現在の状況の情報収集
◆現行プロジェクトの事後点検
◆将来のニーズ、カリタスの可能な関与についての DPRK のパートナー、国連機関、NGO との議論

旅行日程:

水害復興委員会への要請は2001年のアピールを起草するために平壌に1週間滞在することだった。江原道(アンビョン郡およびウォンサン市)への1日現地調査旅行が3月17日、土曜に行われた。

背景:

1995年秋、カリタス香港は、DPRK のために連絡機関としての役割を引き受けた。ここ数年で、主に食糧援助、医療ケア、農業投入物の2,300万米ドル相当以上の現物援助を送り届けた。しかし、危機は終わっておらず、なお人を動かさずにおかないような人道的ニーズがある。朝鮮は今なお、その日暮らしで存続している。すでに、カリタス・インターナショナル事務総長ダンカン・マクローレン氏の2000年11月の訪問中に2001〜02年の新アピール開始の必要は明らかだった。

実情と観察

A.一般情勢:

深刻な干ばつ、台風、貧弱なインフラ、それに経済問題によって、DPRK は連続7年目の食糧不足に直面して闘っている。その上、今年の冬は特に厳しく、1月の2週間に1949年以来でいちばんの寒さを記録した。人々は苦しみ、国際社会から提供される支援に頼りつづけている。建物、道路、車両、給水設備などを維持する政府の投資はほとんどなく、構造的な問題がますます大きくなっている。

B.カリタスのパートナー:

水害復興委員会(私は冗談で将来は復興委員会とだけ呼ぶよう提案した)が、カリタスの主たるパートナーであり、カリタスのプログラムを調整する。カリタスと水害復興委員会の関係は、ここ数年にわたって建設的に進展し、プログラムのための情報や受益者への接近は着実に改善されてきた。学習過程が実施され、幅広い対話へのいっそうの開放性が存在する。様々な省庁(保健省、農業省、林業省、教育省など)との相互関係は今やますます規則的になりつつあるが、そこでは、カリタスの活動様式や活動手続きが繰り返し説明される必要があり、また、寄せられる期待は、しばしばカリタスの資力、目標、目的を超える。

カリタスの5年間の DPRK プログラムについての回顧実施の意向が、水害復興委員会から反対されなかったと確信をもって報告する。

C.カトリック教会:

(3月18日)日曜に教会の礼拝は行われず、何人かの出席したい外国人が閉ざされた教会の門で待っているのが見られた。官僚らの話では、これは、韓国からの訪問司祭(私は飛行機でカトリック正義司祭会からのバク・ジョン師に会っていた。)が、すでに金曜の午後4時にミサを行ったからだった。この点は、韓国の司祭が訪問したなら、この先もまたそうなるだろうと彼らは述べた。私は、一方で、韓国の司祭訪問は奨励されるべきことだが、他方で、国際的コミュニティが閉め出されてしまうことは失望させるという観点を表明した。チャンチュン教会ではレトリックが強く、海外干渉への照会がなされた。同時に、その教会の職員らはカリタスの支援に謝意を表し、継続した支援の希望を表明した。

D.工場訪問:

カリタスは、朝鮮平壌女性貿易・衣料センターで冬物上着・スーツ3,000着を生産した。きわめて直前に予告したが、訪問が手配された。センターはおよそ5年前に設立され、離れた場所に幾つかの工場を有している。経営陣と全労働者(総数1,500人以上)が女性で、私は旧友のごとく歓迎された。センターは、国連開発計画(UNDP)および国連女性開発基金(UNIFEM)から若干の設備(機械)と訓練の支援を与えられた。作業場はじつに良く組織されていた。娘たちは、(日本からの)ミシンの向こうで、あるいは、アイロンをかけたり裁断したりするのに忙しかった。衣類のサンプルは、きちんとしていて満足できる水準を示した。工場は2交代制で稼働していた。労働者はすべて25歳から40歳までで、平均月給150ウォンを受け取っていた。センターには託児所と幼稚園がある。衣類の素材について尋ねると、カリタスが注文してきたので、経営者2人と通訳1人が中国へ購買旅行に行ったと経営陣が説明した。しかし、もっと多くの仕事が必要とされていた。カリタスはベビー用下着のサンプルを欲しいと求め、熱心な経営陣は2週間以内にそれを送り届けると約束した。

E.食糧事情:

食糧不足は、朝鮮の人々の将来の経済的、社会的、それに健康上の地位に大きな影響を及ぼしつづけるだろう。2000年〜2001年(11月〜10月)に同国は、国内穀物総入手量と、(479万トンと見積もられる)そのニーズとの間の不足分を充たすために186万5千トンを輸入する必要があるだろう。援助側の反応は、韓国がコメ20万トンとトウモロコシ30万トンを供給し、日本政府がコメ50万トンを供給するなど、これまでのところ気前がよいものだ。しかし、人々の食事は非常にアンバランスで、豆類や食用油はまだ緊急に必要とされている。公共配給制度を通じた食料配給は、5月までは1日1人当たり約200グラム(およそ700カロリー)の割合だ。発育不良の子どもたちの兆候がとても共通しており、人々は(地元住民も外国人も同様に)幼い人口が長期の食糧欠乏で深刻な影響を受けていることにだんだん慣れてきてしまっている。

F.保健、水質、衛生:

朝鮮には病院もあり、医師もいるが、投入物、最新知識の入手、それに訓練の面でほとんどが欠けている。その上、病院のインフラは劣化しており、給水や衛生設備もまた格上げされる必要がある。最近の訪問で観察される患者数は、医薬品や医療供給品や暖房などの欠乏のため、減少してきている。今や患者は、外来患者向け診療所に通院するか、および/または、家族が初歩的な手当てをして自宅に留まる傾向がある。カリタスがウォンサンのある病院に寄贈した基本医薬品と医療供給品は、私の訪問前のほんの数日前に到着したのだが、全部の箱が未開封というわけではなかった。病棟ではカリタスからの毛布が使われていた。病院経営陣は、ものすごい入院患者数だと主張したが、訪問者と共に病棟を訪ねるのは幾分いやいやのようだった。

G.食糧安全保障:

農業シーズンの準備が目下、進行中だが、援助側の限られた反応のため、2001年の農業投入物は乏しい(肥料、プラスチックシート、種子、殺虫剤、除草剤など)。ウォラン協同農場の農場経営陣は、カリタスから受け取った投入物に謝意を表し、現在の情勢にはぜいたくな昼食を振る舞ってくれた。誰もがほほえみ、良い雰囲気であり、その農場への最初の訪問の時に、訪問者をあまり有り難く思わないと経営陣がきわめてはっきりさせていたのとはまったく対照的だった。今回は、古いトラクターが、(カリタスが送った)新しいタイヤを付けて全部並べられていた。農民たちは、寄贈のおかげで今年の収穫は以前よりずっと良くなるだろうと楽観的だった。2000年には、コメの収穫量はヘクタール当たり3.5トン、トウモロコシは3トンだった。良好な天候と十分な投入物があれば、コメの収穫率5.5トン、トウモロコシで6トンは見込まれる。

最も緊急なニーズ:

国連機関、NGO との会談、水害復興委員会との協議から、2001〜02年(4月〜3月)におけるカリタスの支援は、次のものに集中されるだろう。

― 食糧援助(主に託児所や幼稚園の子どもたちへの食用油)
― 医療(基本医薬品および医療供給品、分娩室の基本備品)
― 農業投入物(協同農場5ヶ所、野菜農場1ヶ所、サツマイモ耕作プロジェクト
  の第2局面への支援)
― 山林管理(種苗場の復興)
― 教育(香港からの中古コンピュータ、学校用・衛生キット)

勧告:

提供された支援は人々の健康に影響を及ぼしてきた。それはまた、連帯と関心のしるしとしても見られ、人々に希望と励みを与えている。援助はただ人間の苦しみを和らげるだけでなく、それはまた、態度とアプローチにおける変化をもたらす。けれども、朝鮮の困難はすぐには消え去らないだろうし、人道支援の面で、しかしまた復興と開発努力と独創力の面でも引き続く支援が必要とされている。新たなカリタスのアピールは、4月半ば頃に開始されるだろう。カリタス香港は、援助疲れや世界中での災害の増加にもかかわらず、朝鮮の人々が忘れられないよう望んでいる。

香港、2001年3月31日、キャシー・ゼルベガー(Kathi Zellweger)