朝鮮民主主義人民共和国のための2003年国連諸機関合同要請より(2)
http://www.reliefweb.int/appeals/2003/files/dprk03.pdf


2002年の回顧


この節では、人道的関与が危機的状況にある人々の生命に及ぼす影響につい て説明することを目的とする。ここでは全体的な人道戦略における達成点、 そして立ち入りの制限や資金不足など、外的要因による制約に注目すること にする。また2002年の教訓について述べる。これらは2003年の人道戦略を 作成する際に反映された。


モニタリング報告

2002年のCAP(合同要請プロセス)では、最も脆弱な人々のニーズを満たすた め、2億5800万ドルの資金要求額を提示した。2002年10月27日現在、国際 社会から寄付されたかあるいは寄付が約束された額は2億200万ドルである。 寄付者たちの惜しみない支援を通じて2002年のCAPの目標と目的の達成に 向けてかなりの前進が成し遂げられた。2002年の要請に対する寄付者の反応 に関する詳細は付録Xに示されている。

2002年に、CAPの国内チームは四半期ごとのモニタリングを開始した。これ は資金の得られたプロジェクトが受益者に対して与えた好ましい影響と、得 られなかったプロジェクトにおけるマイナスの影響とを明らかにするためで ある。モニタリングには個々のプロジェクトの最新情報とそれらが部門別目 的と戦略的目標に及ぼす効果を含んでいる。

食糧保障(食糧支援)
栄養面の安全網は(対象とされたのは640万人であったが)500万人以上の 弱者に対して提供され、それによって彼らの栄養状態を維持し改善すること ができた。WFPは高齢者と施設における介護者に対して端境期の配給を行う ことができず、また5月に中断された中学生児童に対する配給を再開するこ ともできなかった。この年の最終四半期には、250万人の幼稚園児、保育園 児、小中学生、妊婦と授乳中の母親たちが穀物補給の欠乏のため悪影響を受 けた。

食糧保障(農業)
人道支援では、農業生産を増加させることにより全体的な食糧不足を縮小し ようとしている。しかし人道支援による肥料提供は短期的なものであり、補 完的な復興プログラムが伴わないと食糧不安の問題を解決することはできな い。3箇所の協同農場では、種の増殖と管理の改善により、冬季間の小麦生 産を増加させた。この部門に対しては、CAPの枠組み外からかなりの支援が 提供されている。

水道と下水
この部門を支援しているほとんどのCAPプロジェクトはまだ実行中である。 この年のプロジェクトが完了したら、2003年の前半には推定160万人の人々 が安全な水を利用することが可能となるはずである。このような改善は、 DPRKにおける幼児死亡と罹病の最大の原因である、水による病気の危険を 減少させる。

保健と栄養
今年初期の資金不足によって基本的薬品、医療器具や設備が不足し、回避で きるはずの罹病や死亡による危険が増加している。今年の後半に状況は改善 され、「エイズ・結核・マラリア地球基金(GFATM)」を通じた「短期診察 治療コース(DOTS)」プログラムにより、10万人の人々の結核の危険を減 少させた。生殖医療に対する支援は限られており、出産時の死亡率が高いま まである。全国的免疫とビタミンA錠剤の普及は、この地域における最大の 成果である。230万人の児童の免疫反応が改善し、ありふれた病気に起因す る生命の危険を減少させた。

教育 
65万人の児童に対する学習環境が改善され、彼らがこの危機を克服する能 力を強化した。


人道状況の変化

社会主義市場の崩壊後の経済的苦境が依然として人道的状況に直接的影響を 及ぼしている。一連の自然災害によって状況はさらに悪化し、生産性の低下 と社会的サービス供給水準が劣化してきた。政府は今年に一連の経済改革を 施行し、国営企業の経営と価格付けに関する改革を通じて労働者の誘因を向 上させることにより、衰退傾向を反転させようとしている。

同時に、政府はシンウィジュ特別行政区の創設を宣言した。前向きの試みは あるものの、最悪の人道的危機状況を軽減するためには、持続的な成長が求 められる。人道的開発ワーキング・グループによる、経済改革に関する論文 が付録IVとして添付してある。

政府は、2001年に一人当り国民総生産が1998年の457ドルを下回ったと報 告した。これは、2000年に政府が示した数字よりもさらに経済が縮小したこ とを意味する。1993年から1996年の間にGDPは半分に減少し、一人当り 所得が481ドルにまで落ちていた。資料は限られているが、この経済は10 年以上、マイナス成長を続けているようである。経済成長は、DPRKと国際 社会との関係改善を通じて実現することができるだろう。2000年6月の南北 首脳会談以来、2年半の間、DPRKと他の国々、特に欧州連合の加盟国との 関係強化が進展している。南北間の対話は2001年から2002年の前半にかけ て停滞したが、今年の後半には前進した。

2002年8月、ソウルでDPRKとROK(韓国)は第2回の南北経済協力促進 会議を開催した。その会議において、双方は2000年6月15日の共同宣言の 精神を再確認し、経済協力を実際に推進するための具体的方策について議論 した(注)。

(注)2002年8月27−30日に開催された第2回南北経済協力会議における 合意事項には、京義線(ソウル−シンウィジュ)と東海線(東海岸沿い)の 鉄道と道路連結、およびケソン工業団地の建設が含まれる。これを支援する ため、韓国は40万トンの米を借款で、そして10万トンの肥料を提供した。

2002年9月17日、キム・ジョンイル国防委員長と日本の小泉純一郎首相が ピョンヤンで会見し、二国間の関係正常化について会談した。これは二国の 首脳による最初の会談であった。DPRKと日本とのピョンヤン共同宣言は、 二国間の経済協力を通じて、この地域における関係改善がなされることの重 要性を強調した。正常化の過程で、日本は外交関係正常化後にDPRKの民間 経済活動を支援することを申し出た。これには援助金、低利の長期融資と国 際機関を通じた人道支援、また日本の国際協力銀行を通じた支援などの形態 が含まれる。

これらの内外情勢の進展による長期的影響を評価することは時期尚早である が、これらは将来に希望を与えるものである。DPRKによる外交努力は、上 述のように韓国との合意や日本との関係改善を実現させたが、支援と外国か らの投資増加も期待させるものである。作業環境もよい方向に変化した。国 内の担当者との政策に関する対話が拡大したことと、通信設備の改善、栄養 調査の実施、そして医療行為に関する制限の緩和など懸案だったいくつかの 問題の解決は、ともに作業環境の改善に役立っている。しかし、それでも改 善の余地はまだ多く残されている。

得られた教訓

2002年CAPの作成においては、国内の調整機構が整備されているにもかか わらず、人道部門が人道プログラムを実施しながら学習し、その教訓を適用 することが困難であったことが、明らかにされた。教訓を見いだし、学習す ることは不断の過程とすべきであることについて合意はあるものの、DPRK における制限は、成果が期待されるにもかかわらず、そのような共通の学習 習慣の浸透を妨げている。その結果、すべての関係主体(政府を含む)が人 道的活動のための資源を活用して、開発への移行を可能とする状況を構築す る能力を低下させることになった。これに対して、諸機関は、OCHA事務所 内に「人道開発資料センター(HDRC)」を設置して、情報管理と学習環境 を改善することを明らかにした。

個々の教訓は、戦略および実行段階における調整会議において、共有される 過程を経て、プログラム立案に反映される。公開フォーラムを利用して、プ ログラム実施の事後評価、活動項目についての合意、部門別計画の実施につ いて監査を行った。加えて、2002年のCAPで完了した、IFRC(国際赤十字 連盟)の水道、下水および保健プログラムに関する事後評価書は、それらの 部門で従事する諸機関で共同利用されている。この評価書は、2003年の活動 計画を実施する諸機関が考慮すべき重要な技術的教訓を含んでいる。これら の教訓の多くは実施段階ではすでに反映されており、他の点についても2003 年のための現実的で実践的な枠組みを構築するために用いられた。

CAPの国内チームは、二つのOCHAレポートを用いて、2003年のアピール を作成した:「CAPにおける最良事例集と得られた教訓に関する研究会レポ ート」、およびOCHAの評価・調査班により委託された「CAPの外部評価」。 CAPの国内チームは、2002年2月にスイスのモントルーにおいて、「人道 的緊急事態における合同要請プロセスおよび調整」から寄付者の撤退に際し て出された、CAPに関する合同の寄付者所見を適用しようとした。報告書と 寄付者所見はいずれもDPRKに関するCAPを改善するのに役立った。

寄付者の所見や教訓を用いる際、CAPの国内チームは人道的活動の限界や本 質を認識している。それは対応が現実的で定量的であるという意味である。 それらは利用可能な資源に基づいており、政府や他の主体が満たされないニ ーズを充足することをめざすプログラム的対応よりも、支持の得られる方策 を実施しようとする博愛的な組織に基づいている。このような政策は、国際 社会が解決することができないと政府が予想形成することを回避するねらい もある。

2003年の人道プログラムにおいて考慮すべき事柄について、CAP国内チー ムによる提言と所見が付録Vに添付されている。