朝鮮民主主義人民共和国のための諸機関合同要請
中間総括(2003年5月)

UN Office for the Coordination of Humanitarian Affairs (OCHA)
3 Jun 2003

http://www.reliefweb.int/w/rwb.nsf/6686f45896f15dbc852567ae00530132/2388814
e76a8e94fc1256d3900600ed9?


目 次

1.概観/摘要

2.外的条件:人道プログラムへの影響

3.定められた目標および目的に向けての進捗状況
3.1 プログラムの実行と対象となる人々への影響

4.2003年末までの優先事項
4.1 食糧援助
4.2 保健と栄養
4.3 水と衛生
4.4 農業

5.2004年の展望:シナリオと見通し

付録T.表T:機関別要請額および寄付状況一覧
付録U.2003年CAP中間総括の進捗状況報告−CAPの目標と目的


1.概 観

朝鮮民主主義人民共和国(DPRK)のための合同要請の中間総括(MYR)は2002年12月
1日から2003年4月30日の期間を対象とする。この総括は次の諸事項を扱うもので
ある。国外情勢の変化が人道プログラムに対して与えた影響についての手短かな報告、
共通人道活動計画(CHAP)において定められた目標および目的の達成状況、年内の優
先事項、そして2004年に向けた人道状況に関する展望。

現時点では、人道的な諸機関によって、開発へと移行するための活動支援とともに
人々の基本的ニーズを満たす活動において着実な進展がなされた。年初の時点での状
況は好ましいものではなかった。部門間の資金面での不均等と相俟って、景気循環に
左右されるという寄付財源の性格からすれば、年初の時点ではCHAPの達成は困難
なものであった。世界食糧計画(WFP)はパイプラインが絶たれるのを避けるために、
第一四半期における食糧供給を全面的に縮小しなければならなかった。これはすなわ
ち、300万にのぼる脆弱な人々が食糧援助を受けられないことを意味していた。保健
部門での第一四半期における深刻な資金不足によって、脆弱な集団が予防可能な病気
や疾患によって生命の危機にさらされ、とくに必需的医薬品を定期的に供給するため
の資金が不足した結果、乳幼児、子供、妊娠中および育児中の女性にとって病気や死
のリスクが増大した。これは今もって2003年の課題である。

今年の第二四半期の間、大抵の部門での多額の資金援助によって5月初めまでにほと
んどの機関が要請額の40%を受け取ることができた。これによりCHAPの支持する
活動の半分以上に着手しうるようになった。そして2月と3月に公表された食糧援助
のための十分な寄付によってWFPが大勢の受給者への配給を2003年の第二四半期
から再開することが可能となった。農業部門でのNGO活動への多額の資金援助は、
この部門におけるCHAPの目標を半分以上達成するための基礎を築くことを可能に
した。また現在の援助と予定されている寄付とによって、諸機関は保健・栄養部門に
おける九つの目標のうち八つを、今年中に部分的にであれ達成するだろう。このこと
は、対象とされる脆弱な集団のための栄養上のセーフティネットを提供するための努
力を補完し推進することになる。

2003年に向けた対応を計画するなかで諸機関が直面している見通しに対する不安は、
1995年の危機への対応を開始して以来最も大きなものである。中国における重度急
性呼吸器症候群(SARS)の発生、そしてSARSの国内流入を防ぐためのDPRK当局に
よる予防措置は、諸機関が現行の領域でプログラムを実行する能力に影響を与えかね
ない。それと同時に、核問題の出現は人道援助を不安定なものにし、開発計画を後退
させた。そのため諸機関は、情勢の変化に照らして現行のプログラムを継続的に見直
してゆくことになるだろう。


2.外的条件:人道プログラムへの影響

MYRの本節では、直接的に―または間接的に―人道状況および活動に影響を与える
外的条件の最近の変化を概説する。合同要請が作成されて以後、二つの重大な問題が
人道プログラムに影響を与えた。SARSおよび朝鮮半島における核問題である。

重度急性呼吸器症候群(SARS)

DPRKでのSARS発生は報告されていないが、中国に隣接していることと保健サー
ビスの現状からすれば、SARSを阻止するのは困難である。病院の医療設備は劣悪で、
不十分な水と電力は病院の機能を著しく妨げている。このことは患者の適切な隔離と
院内感染に対する適切な管理を難しくするだろう。そして、適切な医療用品と設備の
不足、および隔離治療の技術に関する知識不足は、この課題をさらに困難なものにし
ている。SARS患者に対するケアは技能を必要とするが、それは残念ながらDPRK
では未発達の分野である。

そのような状況のもとでDPRK当局は、国内へのSARS流入を防ぐために隔離規制
や旅行制限を含む強い措置をとっている。しかしこれらの措置は経済、とくに中国と
の国境を越えた貿易に悪影響を与えるだろう。さらにこれらの措置は、諸機関が現行
の領域でプログラムを実行する能力にも影響を与えかねない。しかしこれらは世界保
健機関(WHO)の技術的指針を超える措置ではあるが、それはSARS発生を阻止する
ことが最優先の必要であるという背景のもとで理解されなければならない。このよう
な観点からすれば、DPRKはSARSに対して同様にWHOの技術的指針以上の対策
を講じている国々と変わりがあるわけではない。(現行のSARS対策とそれがプログ
ラムに及ぼす影響についての発表予定のリストを参照。)

中国でのSARS発生以後、WHOは非常事態宣言を出して保健省とともにSARS対
策を呼びかけてきた。SARSの急速な成長と拡大、そして保健職員が海外の最新の保
健情報へのアクセスを持っていないという事実をかんがみれば、これはとくに重要な
ことであった。WHOはまた、SARS対策のための国際的な支援の計画と協調とにお
いて主導的な役割を果たしてきた。衛生状態の改善と全国の病院での感染予防のため
の計画は、国際赤十字社・赤新月社連盟(IFRC)、国連児童基金(UNICEF)、そして
WHOの協調のもとでのSARS対策活動の一環として立案された。国連人道問題調整
局(OCHA)のNGO基金機構は、SARS対策指定病院であるアンジュ市人民病院の隔
離施設の整備に取り組むNGO Premiere Urgenceへの支援を行なっている。SARS
対策と予防に関わる活動は追加的な資金提供を必要とするかもしれない。SARS発生
の場合にはその必要性はいっそう大きなものとなる。

DPRKでSARSが発生した場合には、既存の保健サービスの弱さからして、結果は
かなり深刻なものとなりうる。それはまた人道プログラムの作業環境を劇的に変化さ
せることになる。そしてSARS患者に対処するための設備が不十分であるため、国際
機関の人員が大幅に削減されることになるだろう。

核問題

2002年10月にDPRKで核問題が生じて以来、DPRK、韓国、日本、そして米国と
の関係は徐々に悪化している。これは複雑かつ多面的な問題である。論議の場でそれ
ぞれの当事者がとる立場の利害に関わりなく、問題が解決されるまでは人道プログラ
ムは深刻な影響を被り続けるだろう。

大抵の資金提供者が政治を人道援助から区別する一方で、外的条件の深刻な悪化は将
来の開発に向けた基礎固めと能力開発のための努力を妨げている。2002年および
2003年の合同要請で言及したように、開発支援のための望ましい外的条件をつくり
出すには、DPRKと米国を含む近隣諸国との関係が改善されることが必要である。人
道援助からの移行戦略を補強するようなCHAPの戦略的目標は、現在その達成を妨
げられている。なぜならそれは復興・開発活動のための国外および国内の望ましい環
境が必要条件となるからである。

人道活動を通してもっとも脆弱な人々のニーズを満たすというCHAPの短期的な目
標はまた、資金提供者たちが現在の国外および国内情勢の下での人道援助に対して消
極的な姿勢をとり続けていることによって困難を強いられている。合同要請の中の
「得られた教訓(Lessons Identified)」の節やCHAPの序文に詳述されているように、
復興・開発プログラムに向けた望ましい環境を支援し擁護するためには、国外からの
参加者が緊急に必要とされている。そのような変革(および人道プログラムの撤退戦
略の円滑化)においては、状況改善の導き手としての国連諸機関の支援に振り向けら
れる資源の必要性が中心的な要件となってくる。しかしそれは持続可能かつ建設的な
政治的解決がみられない限り起こりえないことだろう。

合同要請機構(CAP)によるシナリオの変化

2002年9月、DPRK国内チームは、状況の急速な改善または悪化を示す指標を提示
するとともに、CHAPに基づいた最も起こりうるシナリオを示した。2002年に比べ
て2003年には第一四半期における臨時の資源投入の努力によって人道援助のレベル
の深刻な悪化は防いだが、一方では、朝鮮半島の緊張の高まりとSARSによる作業環
境の変化によって、2003年後半の作業環境は急速に悪化の方向に向かっている。し
たがってCAPの国内チームは、2003年の残りの年期に向けて最も起こりうるシナリ
オを改めて提示することとなった。仮に代替シナリオのなかの潜在的な引き金が引か
れることになれば、人道戦略は見直しを迫られることになるだろう。

最も起こりうるシナリオの改訂

DPRKに向けた2003年までの最も起こりうるシナリオは作業環境の悪化である。
SARS管理のための措置は、諸機関がプログラムを実行する能力を制限するため、い
くつかの国際的援助が縮小されることになるだろう。また朝鮮半島の緊張の高まりに
直面して、脆弱な朝鮮人民の生活向上をもたらすような経済状況の改善は起こりそう
もない。安全保障への関心の集中は開発計画への支援を後退させることになるだろう
し、脆弱な状況は経済改革が実施されるにつれて一層悪化しさえするかもしれない。
人道支援は引き続き要請される。支援が上手く導かれるならば、重要な成果のいくつ
かは継続して達成されるだろう。

代替シナリオ

急速な改善
1.SARSの脅威は急速に退き、SARS以前の作業環境が回復される。
2.以前のDPRK−韓国間の合意事項が完全に履行されることによって、DPRKへ
の韓国からの投資が大幅に増加する。
3.DPRK、韓国、日本、米国間の関係の大幅な改善によって、人道援助が保証され
るとともに開発のための資金提供が増大する。
4.諸機関がより容易に人々に接触することを政府が許可することによって作業環境
は改善され、それは人道援助の水準を大きく引き上げることになる。もしそれと並行
して国外情勢が改善されるならば、大規模な復興・開発プログラムへの移行をともな
うだろう。

急速な悪化
1.2003年下半期に向けた人道援助のレベルの決定的な低下。
2.朝鮮半島の緊張の高まりによる、複数のまたは全てのDPRKへの国際的援助の
撤退。
3.DPRKでのSARSの流行。


3.定められた目標および目的に向けての進捗状況

CAPの戦略的目標

・人々の基本的ニーズと権利を満たし、自立に向けて取り組むこと
・究極的には経済回復につながる将来の開発のため、基金を強化し能力を開発する
こと
・家庭は社会の基本単位であるとの認識のもと、脆弱さを補うために社会、組織、
そして家庭の能力を開発すること

DPRKへのCHAPはその戦略的目標に向けて順調に前進している。これらの目標に
向けた進展は、復興・開発活動への一層の移行に向けた支援とともに、人道的ニーズ
への継続的な強調という全体的な人道的戦略の堅持によって支えられている。第一の
目標の達成はまずもって寄付財源に依存しているが、将来の開発のための能力開発は、
開発を支えるための望ましい国内および国外環境を形成することにかかっている。こ
のような環境の形成は、援助団体に対する活動上の制約と、現在の環境下では移行と
開発のためのプログラムへの資金提供が限られていることの双方によって妨げられ
ている。またこれらの障壁は、国際社会が政府の人道的危機の根元的な要因への取り
組みを手伝うことを可能にするような、開発への移行のための望ましい環境形成を妨
げる。

人々の基本的ニーズを満たすためのいくらかの進展はなされたが、基金のレベルと活
動上の制約は主な制約であり続け、人道的活動に悪影響を及ぼしている。それにもか
かわらず、DPRKのCAP国内チームはCHAPの目標および支援部門の目標は変更
されるべきではないと決定した。また国連開発支援機構(UNDAF)プロセスに対する
政府の支援は、開発問題についての国連と政府との対話が進展したというもう一つの
前向きな兆しである。それは政府が開発への移行を支援する活動を承認したことを示
すものであり、中期的には望ましい環境が形成されつつあることを示すものでもある。
DPRKでの好ましい結果をかんがみればUNDAFは効果的な道具であると同時に、
国連合同国別調査(CCA)が2003年3月に終了したことは2003年9月までのUNDAF
終了に向けての大切な一歩であった。このことは移行のための復興・開発の領域での
国連による統合的な計画立案に向けた更なる堅実な一歩をもたらすだろう。

CHAPの目標を達成するために、2003年諸機関合同要請は資金提供団体に、DPRK
に脆弱さをもたらすいくつかの要因に効果的に取り組むためには2億2500万米ドル
が必要とされることを示した。2003年5月14日現在、必要総額の41.4%にあたる約
8267万米ドルが国際社会によって供出または寄付されている。これによりCHAPの
支持する計画の半分以上が実施されることととなり、CHAPの目標および目的を満た
すための実質的な進展もまた可能となった。

3.1 プログラムの実行と対象となる人々への影響

2003年の最初の四ヶ月間に、プログラムの実行と人々への影響に関するモニタリン
グに大きな進展が見られた。5月14日の時点でCAPが必要総額の41.4%を達成して
いたことは特筆すべきである。寄付は部門間でほぼ均等であった。付録Uとして添付
されている2003年CAP中間総括の進捗状況報告は、現在までの人道的対応、その
ような援助の結果、そして資金不足の影響を要約したものである。各部門における基
本的な成果と制約は以下の通りである。

食糧保障:栄養上のセーフティネットを提供するという目標は部分的に達成された。
プログラムの目標である約400万人の脆弱な集団の人々のうち、340万の人々が少な
くとも報告された期間の一部においてであれ援助を受けた(この数字は「労働のため
の食糧」計画の受給者を除く)。年初には寄付に関しての見通しが立たず、WFPは第
一四半期には食糧配給の全面的な削減を行なわなければならなかった。しかし3月ま
でには状況は改善し、現在WFPは年全体の約50%の寄付を達成している。

水と衛生:唯一UNICEFだけがこの部門での2003年の活動を始めたのだが、2002
年のプログラムからの寄付の繰越しと追加予算の配分をもとにして、他の対象領域に
おける活動も進行中である。欧州委員会人道援助局(ECHO)は、第二または第三四半
期における資金提供を議決するに際して、それに関係する部門でのUNICEFとNGO
の活動に対して支援する用意があることを示した。これによりCAPの支援する全て
のプロジェクト活動が、2003年中に完全にまたは部分的に達成されると予想される。
CAPの全ての目標は現在、もし寛大な資金提供が確約されるならば、2003年中に完
全にまたは部分的に達成される方向に向かっている。

保健と栄養:この部門では九つの目標のうち八つが部分的に達成されている。全国的
な予防接種システムと輸血サービスの強化のために順調に進展しており、必需的医薬
品は163の郡に定期的に配給されている。しかし基金のレベルの低さから、死活に関
わる薬を五つか六つしか供給することが出来ない。また妊娠と出産に関わる基礎的お
よび救急のケアを改善するために保健サービスを強化するという目標は、いまのとこ
ろ達成されていない。5月の始めにECHOは、この部門のために450万米ドル以上
の資金を拠出することを承認した。これにより諸機関は、CAPの目標を達成するた
めの機関の能力を強化するとともに、この部門でさらに三つの活動を開始することが
可能となった。現在の資金提供の経過と予定されている寄付によれば、第三四半期ま
でにこの部門では必要資金の3分の2が満たされるだろう。

教育:この分野は2002年に比べて十分に資金援助を受けていない。CAPと非CAP
の財源を用いて、UNICEFは部門目標のうち二つを部分的に達成したが、寄付が集
まらなければ、65万の子供たちのために新しい教科書を印刷するという目標は達成
されないだろう。

農業:八つの部門目標のうち六つを達成する方向で進展している。NGOは2003年
には四つの部門目標を達成するだろう。FAOは部門目標のうち三つを部分的に達成
する見込みであり、またUNDPとFAOは農業部門での更なる発展に向けての協調体
制を確立することを目指している。第二四半期を担当することになるFAOのあるプ
ログラム調整官は、CAPと非CAPのプログラムを統合的な枠組みへと結び付けるよ
うな仕組みを確立するというCAPの目標を達成するために尽力するつもりだという。


4.2003年末までの優先事項

現在の人道状況の影響を最も受けるのは、食糧保障および保健と栄養に関する部門で
ある。DPRKのCAP国内チームは、CHAPにおける以下の諸目標に対して優先的な
資金提供がなされるべきであるとの評価を下した。

4.1 食糧援助

優先順位1−食糧不足の影響を受ける脆弱な集団を対象として、食糧供給を通じた栄
養上のセーフティネットを提供する。

2002年10月のFAO/WFP穀物および食糧供給調査団は、食糧不足の影響を受ける
脆弱な集団を対象とした食糧支援による栄養上のセーフティネットの提供が重要で
あることを繰り返し述べた。とくに幼児や妊娠中または育児中の女性は食糧援助の対
象とされるべきである。4月30日の時点で、今年の残りの期間(5〜12月)に関して
WFPによる食糧援助のパイプラインにおいて8万トンの物資が不足していると予想
されている。その大半は穀類(5万5000MTs〔MT=1000kg〕)である。穀物配給の縮
小を防ぎ、2003年の第四四半期には配給を再開させるためにも、新たな資金提供が
緊急に要請されている。その他に必要とされる物資は、混合食品(CSM)9000MTs、砂
糖3500MTs、豆類9500MTs、そして植物油3000MTsである。

―必要量:8万MTs

4.2 保健と栄養

優先順位1−163の郡の保健施設において、病気を患っている女性や子供の治療を優
先しつつ、必要不可欠なサービスを提供するために保健制度の能力を強化する。これ
は、必需的医薬品、基礎的な医療設備と医療用品、およびそれらの適切な使用法の訓
練を継続的に供給することによって達成されるだろう。

WHO、UNICEF、およびIFRCは、保健機関への必需的医薬品の供給が決定的に不
足していると指摘する。現在ほぼ全ての現代的医薬品が国外の支援団体によって提供
されているため、CAPへの寄付の不足は、子供と女性にとっての基本的な病気を治
療するための保健サービスの機能に深刻な結果をもたらす。最終的には、すでに栄養
不良の状態にある子供たちが下痢や呼吸器感染症の治療の遅れ、または治療を受けら
れないために、さらなる栄養不良や生命の危機に陥ることになる。女性に関しては、
妊娠中の合併症に対する治療が不十分であるために、不必要に命を落とさなければな
らない。人口のうちの最も脆弱な人々が最低限度の基礎的なヘルスケアを受けられる
ためには、十分な量の必需的医薬品を167の郡の保健機関にたいして継続的に提供す
る必要がある。

―必要額:300万米ドル

優先順位2−承認された計画案に従って、12の小児科病院、13の保育所、三つの郡
にいる一万人の著しい栄養不良にある子供たちの栄養状態を、リハビリのための物資
と訓練とを継続的に供給することによって緊急に回復する。この支援は改善状況に関
するモニタリングを行なうことで強化されるだろう。そのためには測定のための道具、
指針、記録表、および更に一千の保育施設の介護者に訓練を施すことが必要となる。

このほどなされた栄養状態に関する評価によれば、全国で約7万人の子供たちが著し
い栄養不良にあり、28の栄養状態回復のための施設への支援投下が緊急に要請され
ているという。2003年末にはWFPのパイプラインが機能しなくなるという予測に
従えば、DPRKにおける栄養状態はさらに悪化するものと思われる。栄養状態回復の
ための施設で保護されている全ての栄養不良の子供たちを効果的に治療するには、15
の病院と13の保育所を支援するためのUNICEFへの寄付が求められている。

―必要額:100万米ドル

優先順位3−全国的な予防接種制度(EPI)の能力を強化することで、47万の1歳以下
の子供たちにたいしてEPIに基づく7種の抗原でもって予防接種を施し、48万の妊
娠中の女性に破傷風の類毒素の予防接種を施すとともに、ポリオ根絶のための活動を
推進する。

1歳以下の子供へのEPIに基づく6種の抗原による予防接種は、将来にたいする最
も効果的な投資の一つであると一般に広く認められている。ワクチンへの優先的な資
金配分によって年内のワクチン供給は保証された。しかしDPRKが数年来のEPIプ
ログラムを成功裡に推し進めようとするならば、いま必要とされているのはワクチン
の低温管理と輸送のための追加的な支援である。もし寄付が集まれば、WHOは既存
の急性麻痺症(AFP)への監視をもとに、はしかに対する監視も行なうことを計画して
いる

―必要額:40万米ドル

優先順位4−伝染病にたいする管理および監視を強化する。防虫剤を含んだ蚊帳や窓
とドアへの網戸の使用によって媒介動物(昆虫)を防止し、とくにマラリアに対しては
早期の診断と治療を心掛ける。

伝染病に対するDPRKの脆さと既存の疾病監視体制の弱さはSARSによって明らか
なものとなった。そのため、病気の発生を管理し対応するための国家的な能力を強化
することが緊要とされている。院内感染の予防もまたSARSによって明るみに出され
たもう一つの優先課題であり、これらの活動を実行するためにも資金提供が求められ
ている。

―必要額:50万米ドル

4.3 水と衛生

優先順位1−水道・衛生設備の改善を通じて、十分な量と適切な水質の水および安全
な衛生設備を、(病院、診療所、保育所、託児所、幼稚園、学校といった)諸施設を含
む支援地域に保証する。

UNICEFに対する資金提供の増加によって、最も脆弱な北東地域にあり65万の人口
を抱える二つの行政区(両江道および咸鏡北道)における水質・衛生環境の回復事業に
着手することが可能となる。また北東地域の他の三行政区においてすでに始められて
いる活動も拡大されるだろう。政府−UNICEF間の協同プログラムにおいては、こ
れらの五つの行政区はより統合的な計画的アプローチを実践し、より持続可能なアプ
ローチを見つけ出すための試験的な行政区とされている。

―必要額:160万米ドル

4.4 農業

優先順位1−FAOとUNDPのリーダーシップの下に、CAPと非CAPの農業プログ
ラムと事業を、限られた人道支援プログラムを補完・強化するための開発プログラム
を保証しうる統合的かつ整合的な枠組みへと、明確なかたちで結び付けるような仕組
みを確立する。

仮にこの部門での人道的活動が農業における見込みある取り組みに貢献するもので
あるならば、この目標は緊要なものであるとCHAPにおいても位置付けられている。
そのため、FAOおよび/もしくはUNDPによる農業面での協調的な枠組みの確立の
ための制度的支援が要請されている。


5.2004年の展望:シナリオと見通し

DPRKの抱える諸問題は人道支援のみでは解決し得ないということは、寄付提供者の
あいだでは数年前から認識されていた。国際社会による九年近くもの本格的な介入を
経た今、救援物資の配給と食糧援助が開発への移行のための戦略の一環として行なわ
れない限りは、危機に対する解決はみられないことが更に明白なこととなった。2003
年の合同要請において述べられているように、国際社会の支援を受けた政府によって
主導されるプロセスは、包括的な復興・開発戦略を実行するための望ましい環境をつ
くり出すことを目的として行なわれなければならない。それは特に、持続的な経済成
長のための状況形成を焦点としなければならない。このような望ましい環境は、人道
支援に対して好ましい外的条件が満たされない限り形成されないだろう。

UNDAFプロセスへの政府の参画は、国連の国内チーム(UN Country Team)にとっ
て歓迎すべきものである。このことは、開発へ移行するための枠組みを構築するにあ
たっての非常に重要な基礎と見なされる。UNDAFが脆弱な朝鮮人民の生活を目に見
える形で改善する上でのイニシアティブを確保するために、常駐している人道・開発
支援団体は政府との建設的な対話を継続して行なってゆくつもりである。このプロセ
スはある程度の時間と、上述したように好ましい政治環境とを必要とする。そのため、
慢性的な栄養不良、不十分な食糧保障、そして社会福祉部門の弱体化などの重層的な
影響に苦しむ人々の命を救うためには、人道的な資源投入は2004年にも引き続き必
要とされる。2004年の危機にたいする人道的対応への国際的な支援は、現在の安全
保障状況からして今以上に不透明なものとなるように思われる。食糧援助以外のプロ
グラムは現在のレベルで継続されるだろう。しかしいくつかの主な寄付提供者は、作
業環境の改善なしに支援を継続することに対して懸念を示している。食糧援助は人道
的な見地から引き続き行なわれるが、それはまた政治的なプロセスを必要とするもの
であり、そのためますます先行きの不透明なものとなる。

このような問題を乗り越えるためにCAP国内チームは、国際社会にDPRKの現状を
訴えかけていくことを、人道的対応をより広範な政治的および経済的文脈の中に位置
付けるための重要な手段と見なしている。そのため、国連事務総長の特命全権公使で
あるモーリス・ストロング氏の参画は非常に歓迎されるものであり、また人道的関心
と政治的関心との橋渡しを後押しするものである。



付録 T

        表1. 機関別要請額および寄付状況一覧(2003年5月22日現在)

要請機関 要請額 要請額
(修正後)
寄付 予定されている寄付 前年度からの繰越し 合計資金 不足分 達成率
CESVI 960,000 960,000 240,000 0 0 240,000 720,000 25.00%
CONCERN 930,000 963,918 713,918 0 0 713,918 250,000 74.06%
DWH/GAA 790,000 902,770 682,770 0 0 682,770 220,000 75.63%
FAO 4,066,000 4,066,000 1,268,510 0 0 1,268,510 2,797,490 31.20%
HI B 450,000 150,000 0 0 0 0 150,000 0.00%
OCHA 577,980 515,095 233,751 0 0 233,751 281,344 45.38%
PU 1,115,000 1,087,787 257,787 0 0 257,787 830,000 23.70%
TGH 1,327,000 1,302,070 547,070 0 0 547,070 755,000 42.02%
UNFPA 582,000 582,000 0 0 0 0 582,000 0.00%
UNICEF 12,096,000 12,096,000 2,284,887 584,795 0 2,869,682 9,226,318 23.72%
WFP 197,166,595 202,715,982 80,038,167 16,000,000 0 96,038,167 106,677,815 47.38%
WHO 5,231,100 5,231,100 2,261,895 0 0 2,261,895 2,969,205 43.24%
総計 225,291,675 230,572,722 88,528,755 16,584,795 0 105,113,550 125,459,172 45.59%


略号:
CESVI(Cooperazione e Sviluppo),
CONCERN(Concern Worldwide),
DWH/GAA(Deutsche Welthungerhilfe / German Agro-Action),
HI B(Handicap International Belgium),
PU(Premiere Urgence),
TGH(Triangle Generation Humanitarie)